報道や表現を自粛しない人たちのオフ会(東京)文字起こし

2015年4月19日開催の報道や表現を自粛しない人たちのオフ会(東京)
一部を文字起こししましたのでぜひご一読ください!

(登壇者)
深田晃司(映画監督)・山口二郎(大学教授)・盛田隆二(作家)・香山リカ(精神科医)・飯田能生(NHK)・古賀茂明(フォーラム4)・マッド・アマノ(パロディスト)・山口一臣(元週刊朝日編集長)

今井:「報道・言論・表現者のオフ会 自粛も萎縮もしません」にご参加いただきありがとうございます。第一部はそれぞれの分野からの現状を3分ほどで話していただきます。ジャズのセッションの ようにお互いが自由にやりあいながら響きあう議論があるいは意見交換ができたらと思います。それでは時間になりましたので始めます。深田さんからお願いします。

深田 初めまして、映画監督をしている深田晃司と申します。映画監督という立場でこの翼賛体制に抗する声明に参加しました。映画に関して言うと日本は中国や東南アジアなどと比べると一見自由に映画が作られ ているように思われますが、数年前『靖国』というドキュメンタリー映画が創られ問題になったことが あります。その時に自民党系の一部の政治家から「このような反日的映画に文化庁が助成金を出すのはお かしいだろう」といい始め、上映予定だった多くのミニシアターが右翼の街宣車での攻撃を怖れ上映を自主 規制してしまったのです。つまり「ドキュメンタリー映画については中立であらねばならない」とは問題に した政治家の言い分です。少しでも映画創りに携わっている人ならこの「ドキュメンタリー映画が政治的に 中立であらねばならない」がいかにナンセンスなことかとお分かりになると思います。すべて表現というの はその作家の主観的な立ち位置から作られるもので政治的中立などの観念はないはずです。一方映画制作に おいての助成金は他国に比べると日本はとても少ないのです。低予算の制作現場では当てにしている面も あります。先日『映画芸術』という雑誌の中で「助成金は税金で出すわけですから助成する映画の中になじむ 作品となじまない作品があります」と担当者がインタビューに答えていました。これはとても重大な発言 だと思っています。

山口 法政大学の山口です。大学、教育の現場においての問題ですが先日国立大学の儀式の場で君が代、国旗をやれという要請を出すというのがありました。ここまできたらもう笑うしかないのですが大学の研究者も お金でコントロールされているから文科省にさからえない。今回もあくまでも要請だといっているのです がこれはもう大学は従わざるをえなくなりますよ。NOと言ったらいろいろな仕返しがあるから予測して自 ら自発的に従うという姿勢をとるわけです。今朝の東京新聞に「新しい国語辞典」というコラムを書きました。 「もはや自由というのは権力の意向を慮って自らの意思としてそのように行動する」と作り変えられようと している。そういうことを打破するには個々の研究者が現場で頑張るしかない。またひとりでは頑張りにく いので同じような危機感、問題意識を持った人がまとまって行動するということで、所々に穴を開けて行く という抵抗のやりかたが必要だろうと思います。 今年は戦後70年ですけど天皇機関説事件から80年なのですね、つまり学問を弾圧して戦争で国が滅びる までたった10年だったのです。改めてショックを感じました。芸術、文学等の表現であれ、報道機関であれ あるいは教育機関であれ、権力から自由であることが社会のバランス、健全性を保つということが人間 のいくつかの失敗からでてきた真理なのです。だからこそ憲法に学問の自由や表現の自由が規定されている わけです。今が正念場だと思っています。

盛田:小説家の盛田隆二です。翼賛報道の一例として百田尚樹氏のノンフィクション『殉愛』を巡る偏向報道についてひとこと皆さんに訴えたいと思います。百田氏は『殉愛』の中で亡くなったやしきたかじん氏の妻さくらさんの献身的な介護の様子を描きながら一方でいっさい取材した事もないたかじん氏の長女に対 して言葉の限りをつくして誹謗中傷をしています。これに対して長女は出版元の幻冬舎を相手取って『殉愛』 の差し止めと要求と名誉毀損で提訴しました。こうした事態を受けいくつかの出版社が動いています。 まず宝島社が書籍『殉愛の真実』これを刊行して『殉愛』の記述の多くが事実無根、捏造であると指摘し ました。こちらは全て裏を取った上で出しています。現在までに『殉愛』の方は30万部を超えるベスト セラー、これの捏造を暴いた『殉愛の真実』は3万5千部くらいと思います。さらに『女性自身』『サン デー毎日』もこれに続き『殉愛』の取材の大半は百田氏がさくら未亡人に聴いたもので、たかじん氏の発言 は伝聞の伝聞でありほとんど捏造であると断定しました。これに対してさくら未亡人サイドは2社を名誉毀損、 著作権侵害で訴えました。しかしながらこのような事態を報じているのはネットニュースやスポーツ新聞だけ です。 こうした偏向の萎縮、自粛の要因は3点考えられます。ひとつは百田尚樹氏と幻冬舎の見城社長が安倍首相 と極めて近い関係であるということ。2点目は百田氏が書籍と映画の原作の興行収入で1年間に200億円を 上回るベストセラー作家であるということ。こういったネタに飛びつきやすい『文春』『新潮』『現代』とい った出版系の週刊誌はどこも書かない。それは彼との間に多額の利害関係があるからです。そして3点目は さくら未亡人が法人、個人を相手取り次々に提訴をしているということです。裁判中の案件は提示できないと いう理由で話題にすることを自粛していると思われます。戦略的と見ることができますがその効果は顕著に現 れていると思います。ここにいらしている皆さんにはこうしたタブーを打ち砕き幅広く報道していただきたく 訴えます。                                    香山:精神科医の香山です。私としては何か政治的なスタンスがあるというよりは診療の場で、自分は望んでいなかっ たのになんらかの疾患にかかってしまった社会的な、いわゆる弱者という立場になってしまった人達が不利益 を被ることがないようにというスタンスで社会に対して発言してきました。ここ10年くらいですがそういった 発言をするといろんなところから批判の声がでるようになり、特にこの2,3年は弱者の立場で発言しているのに 権力批判をしていると言われるようになり、反日的活動だとか売国奴だとか激しい罵倒の言葉を一般の人から受 けるようになりました。それを心配した周りのひとから「もうそうした発言はやめたほうがいい」という私を思 いやってアドバイスをもらうが、それに真綿で首を絞められるような息苦しさを感じ、発言の機会が縮まって いるようにひしひしと感じています。 1週間前ですが京都で「医療の倫理を考える」会がありそこで9年前にテレビ朝日で作られた報道番組を観る機 会がありました。鳥越俊太郎さんが中国での731部隊の場所を訪ねるというコーナーがありそれを観ながらのス タジオ場面もありました。漫画家や作家など数人のコメンテーターが発言している内容が今とは全然違うのに驚 きました。番組では「そんなこと言っちゃっていいのだろうか?」とハラハラするくらい自由闊達に議論 をしていました。観ながら少し怖くなってしまいました、今はこんなことを言うことはあり得ない、こんなこと言ったら大変なことになると自分自身が思ってしまっている、萎縮してしまっていると感じたからです。わずか9年前にはこんなに権力批判が自由にできたのにどうしちゃったんだろうと思います。それと私はBPOの委員もやっていて正に「倫理の検証をする委員会」の任期がまだ一年あります。自民党の情報諜報委員会がNHKとテレビ朝日を呼びつけ番組の聴取をおこないました。これはBPOが機能していなくて今後は政府が関与するなどとも言っていますが、BPOは放送界の自浄作用を担保して表現の自由、報道の自由を守る為につくられた第三者委員会で審査はとても厳しいのです。委員をやっていてやり過ぎではないかと思うくらい厳しいのに現場からは厳しすぎると言われているのにそこに関与しょうとしています。それに対して批判の声も多いのですがネットではBPOはインチキだから政府が関与するのは当然だ、いまこそ放送局を取り戻せなどという意見も多くみられ、いったいこの人達は何がしたいのだろうと唖然としてしまうことが実際に起こって います。

飯田 NHKでチーフプロヂューサーをやっている、飯田です。NHKには記者で入りまして今も記者畑の人間です。管理職と一般職の記者を区別するためうちの会社では肩書きにロヂューサー、ディレクターという肩書きを付けています。特に何かプロヂューサー的な動きをしているわけではありません。私はNHKに入って最初に 行った任地が福島でした。福島原発をライフワークのように福島時代は取材をしていました。今から27.8年 前になります。その頃はまさしくNHKでは皇室と原発はタブーだと、めったの事では取材するなと、ましてや 批判的な番組は作るなと新人時代にさんざん言われました。それを取り上げて扱うからにはきちんと客観的 な証拠を集めてそして理論武装をしてどこから圧力がかかっても反論できるだけの材料をあつめてかかれとい われていました。福島放送局ではそれまで原発の番組を創ったことが無かった、初めて原発を題材にして作った 番組に携わったのが私です。その時はさすがに組織的な抵抗も大きかったので被爆問題とか原発の安全性とか 大上段に振り被ったテーマではなくて「地域経済と原発」という切り口で接近していきました。「ばら色の夢」 と称して進めてきた原発がほんとうにこの20年、30年に地域に豊かさをもたらしたのかという観点から45分 番組を2本つくり、その後も30分番組をつくりそれを皮切りに被爆労働の実態へと進む事になりました。 皆さん、NHKというと国営放送と揶揄する人もいてネットなども見ていてもあれはもういらないから潰して しまえという声も多く聞きます。実は中では地道に努力すれば、理屈が通っていればキチンとした番組が創れる  システムがまだ辛うじて残っています。そこは狭き門なのですがキチンとした取材の積み重ねによってまだ 番組を創れる。みなさんもご覧になったと思いますが震災の直後にも震災に対する番組とか原発事故に対する 番組とかいい内容の番組を創ったり、いい番組を海外から取り寄せて放送したりしています。そういう部分を 観ていただきたいと思うのですが、最近はそうではない政治の部分に趣をおいたところがクローズアップされ あの低俗な会長がトップに据えられてから(会場から笑い)、じわじわと自民党からの締め付け圧力というの を、実際にNHKの中にいるとあまり目にみえていないのですが外部のメデイァを通じて「えっ、こんなことが あったの!」と知る事が多くなってきています。どうりで最近自分の身の回りが生活しづらい、仕事しづらい なという感覚がじわじわでてきています。でこのままではいけないと思い今回の署名もNHKの人間というより はNHKのいい部分を残したい、いち視聴者として署名しなければいけないのではないかという部分が半分あり そういう思いで署名したしだいです。

古賀:お騒がせしている古賀です(会場笑い)。今までのコメントにひと言。この中で『殉愛の真実』を読まれたかた? あまりいないからここの人が100冊買えばいいわけで、そうやって応援するということがあると思いますね。NHKは原発関連でしばらくすごくいい放送をされていました。でもそれを創った方の多くが飛ばされてしまいましたね。なかには命がけでやっている人もいるわけでNHKが終わってしまったと思う人が多いですがそれは会長だけですからそれを忘れないでいてほしいなと思いました。幻冬舎の見城さんの話がでましたが彼はテレビ朝日の番組審議会の委員長なんですね、驚くべきことですよ、これは。これを知った時にはのけぞりましたが前任は堀田勉さんですよ。これだけでもどれだけテレビ朝日が変わってしまったかが分かると思います。この見城徹さんが去年の秋の番組審議会で報ステのコメンテーター恵村さんを徹底的に個人攻撃し降板に至ったわけです。こういう人達が一連して動いているということが今日は聴いていて良く分かりました。それとBPOはですね、ぜひ審議を公開していただきたいと思います。私の話はいろんなところで報道されているので先日の外国特派員協会の記者会見のことを話そうと思います。その時に感じたのは日本のメディアと海外のメディア記者がこんなに違うのかということですね。海外記者の質問は常に本質を突いています。顕著なのはYoutubeにアップされていますが記者会見が終わってから日本のメディアによりぶら下がりがありました。それを観ていただくとわかりますがフジテレビと日本テレビが 非常に悪意に満ちた質問をしています。これは日本のメディアがいかに愚かであるかが一目瞭然にわかる質疑なのですよ。終わった後に海外の記者が「古賀さん、日本のメディアはこんなにひどいの」と笑っちゃうくらい 口々に言ってきました。日本のマスメディアの評判はすでに地に落ちています。 新聞ではまだ頑張っているところもありますし、テレビではTBSだけがこの問題を真面目に真剣に取り上げて いますがあとは全滅です。このような状況です。私の言いたいことはそのような映像をみていただければわかる と思いますが、今日本はほんとうに危機的な状況になっていると思います。さきほど香山さんが正直に言われた 自分自身も気が付かないうちにちょっと気を使っているようになっているのではないかと反省されていると ありましたが、これは私も含めてみんなこの危険があると思います。最初は圧力と懐柔というやりかたで権力の 方から働きかけてきます、第二段階になるとトラブルに巻き込まれたくないなと思って自粛する、今多くの 企業のトップにみられる安倍さんへの擦り寄り、会食したりゴルフをしたりしてあたかも権力の中枢に入った気 になってしまう。そもそもこういう人は放送局や新聞社のトップになってはいけない。下で働く人達は上司の 顔色をうかがって自粛してしまう。そして第三段階は香山さんがおっしゃったように現場にいる人間が気づか なくなってしまうのです。本来ならほんとうにこれでいいのかと問題を掘り下げて取材するべき記者たちがそれ に気がつかなくなってしまう。それが現に起きています。だからいろいろな問題が報道されない、あるいは報道 されても小さな紙面にしかならないのです。 再三言いますがほんとうに危機的状況になりつつあります、ここで起ち上がる時がきています。その時にぜひ 考えてほしいのは「古賀がんばれ!」はやめていただきたい、自分に何ができるのかを考えていただきたい と思います。

マッド:マッド・アマノと申します。私は2004年の参議院選挙があった年、6月の末に小泉政権の幹事長だった安倍 晋三と顧問弁護士の連名で通告書をもらいました。通告書と言っても中身は恫喝でした。自民党のポスター を茶化したのですね、「この国を想い、この国を創る」という小泉首相のコピーを「あの米国を想い、この属 国を創る」と訂正して差し上げたのですが「総理に対する名誉毀損だ2日以内に回答せよ」というのです。 大変高圧的な文章でした、なにより顧問弁護士と連名というのがひとつの恫喝ですよね。私はいちフリーラン スの漫画家ですから後になにもないわけですよ、内容証明書の通告者ですからカミさんなどは青ざめましたよ。 私はヘラヘラ笑っていましたが。当時の小泉さんの「人生色々、政治も色々」をパロデイにして返答したの ですが選挙戦が始まってうやむやになってしまいました。安倍さんが総理になったのであの通告書をお忘れで はないでしょうねとこちらから嫌味な通告書をそろそろ出そうかと思っています。こんないちパロディストに 対しても痛烈な脅しがかかってくるのだと、古賀さんに脅しがかかるのは当然ですよ。わたしより数段影響力 があるのですから。首相官邸にはあぶないアーティストのブラックリストがあるようなのですがめでたくそこ の一員になっているらしいです。権力に睨まれると仕事がほとんどありません、フリーランスには大変です。 そんなこんなで辛い日々を過ごしているとご報告しておきます。

山口:会社員の山口と申します。私は2011年まで「週間朝日」という雑誌の編集部にいまして最後の4年は編集長をやっていました。その後しばらくメディアの現場を離れてしまったので現状の話はできないのですが先ほど香山さんが9年前のテレビ番組をみて驚いたという話をされましたが私もテレ朝のスーパーモーニングという番組にレギュラーで当時でていました。9年前というかこの4年ほどで視聴者としてみていても大きく変わったなと思います。私の頃は鳥越さんもいましたが、毎回政策批判を報じるコーナーがありました。今は玉川さん がやっていますが、そのことは普通に政策に対する批判的な目線のVがありスタジオにいる人で問題点を議論 していました。それがすごく普通でした。いわゆる政治と金「政治資金規正法違反」とかスキャンダル的問題が 持ち上がると当時は事務所費問題とかがありました。それを繰り返しやっていました。この一年政治と金の 問題はいっぱいあったじゃないですか、違法献金もあったし下村大臣の問題とか、報道系の番組では少し観た と思いますが朝系の番組ではあまり目にした記憶がありません。いったい現場はどうしてしまったのかこちら が知りたくてしょうがないくらいです。受けての私達もそういうことは冷静に見ていかねばならないと思い ます。最近放送法の公正原則についての問題がありますが、放送法を調べていたら2004年に自民党がこの公 正原則を放送法から削除しようとしていた事実があるんですね。それはなぜかというとこの年は参議院戦で自民 党が民主党に議席を逆転させられた年なんです。そこで自民党はメディア戦略をきちんとしなければならないと 考えCSに自民党チャンネルを作ろうとしたのです。でも放送法で公正原則があるので政治的な放送局を作って はいけないとなるわけです。それでこれを外したらどうだということになったのです。結局はお金もかかるし 維持できないので断ち切れになったのですが、その公正原則を自民党が今持ち出して圧力の為に使っている。 どういうことなんだということですよ。 もうひとつ、TBSの「ニュース23」に政権がクレームをつけた件ですが街頭インタビュー覚えていますか。 あれは6人の人がインタビューされている映像なんですね、6人のうち3人が「誰が儲かっているのですか? 僕は全然感じない、アベノミクスの効果は」ひとりの方が「株価が上がって効果があったのではないです か」つまりアベノミクスを肯定していたのです。残りの二人のうち一人は「給料は上がらないが仕事は増えた 気がする」もうひとりは「景気は良くないけど解散総選挙で問い直せばいいんじゃない」と答えています。 これをあえてパーセンテージにすると〇が一人いた訳ですから16,6%はアベノミクスに賛成なんですよ。 ×が3人で49,9%、△が二人で33,2%なんですけど、たとえば直近の産経新聞社とFNNの合同調査で81% の人がアベノミクスを実感していないと答えています。わかります?81%の人がアベノミクスを実感して いないと答えているんですよ!81%の人がアベノミクスを実感していないとう世論調査がありながら「ニュ ース23」の街頭インタビューでは16,6%の人が賛成と答えている。その放送に対して安倍さんは「これ 偏っている」と言ってるわけですよ。これは明らかにおかしい。客観的にみてもこれはおかしいと突きつけ ていかなければならないわけですよ。 私は今堅気の会社にいるのでこうした場にでてきて話すのはどうかと思ったが古賀さんの放送をみてこれは 黙っていてはいけないなと思ったのです。時々以前の職場の若い人と会うことがあるのですが、今一番怖い ことは今のこの現状が当たり前なのだと新人の子は思うわけですよ。だって分からないのですから。僕達は 言いたいこともいい、書きたいことも書いてきましたが、今日入ってきた若い人はそうではない。それが 一番怖い、だからおっさんになっても語るべき事は言い続けていこうと思っています。

(中略)

今井:先週の大阪でのオフ会でも今後どうするのかとちゃんと話をしようよと提議がありました。東京ではその話を2部でしたいと思っています。ではこれから折り返しではじゃあ、どうしたらいいのかという具体的な提案をしていただけたらなと思っています。大阪で出たのは「駆け込み寺」的な役割をこの会がしてはどうかと、それがどういう分野であれ。例えば山口さんが会社に戻って「なぜ事前届けをしないで勝手な言論活動しているのだ」と不利益を被った時 、マッド・アマノさんがまた政府から攻撃を受けた時、こんな事がありましたということを大勢に知らせる、それをホームページで取り扱って問題として共有するということです。それからひとつ私からですが、この「萎縮も自粛もしない会」に2500人ほど名前を連ねてくれました。その中で新聞社から賛同してくれているのは10数人しかいないのです。放送局でいえばNHKが一番多くて、それでも3人だけなんです。新聞社は記憶している限り神奈川新聞が4人、毎日新聞が1人、朝日はゼロかもしれない。不思議なのは東京新聞の佐藤圭さんに聞いたら会社から禁止規定は無い、無いはずだとおっしゃっていたのです。会社員、ジャーナリストがこの声明に署名しないのが分からない。安倍政権を倒 せなんて書いてないんですよ、この声明は。民主党であれ、自民党であれどんな政権であっても私達は言うべ きことを言うという声明なのです。安倍政権を倒せなんてひと言も言っていません。禁止規定がないのだったら 新聞社や放送局で働く人たちとつながっていきたい、スクラムを組みたいと思っているのです。そういった ことも含めてこれからどうしていったらいいのか議論できたらいいなと思っています。 山口二郎さんからさきほど提議がありましたので、では山口さん。                                    山口:すでにやっていることをひとつ紹介します。昨年まで札幌で仕事をしていてテレビ・新聞などメディアで いい仕事をしている人を褒めるという市民運動を5年くらいやっています。つまりいい仕事というのは権力者 から疎まれるから陰に陽に圧力があるそれを支えるのは視聴者の「いいね!」ってやつですよ。つまり「いい ね!」を組織化することで「メディアアンビシャス」というのをやっています。毎年1回大賞とか優秀賞とか 表彰式をするのです。表彰といっても市民の運動なので表彰状1枚だけですがちゃんとみんな来てくれるん ですね、表彰されに、わざわざ。そこでいろんな議論をするのですが東京で組織的にそうした運動があったら いいと思います。NHKの飯田さんが話されましたがNHKにはいい仕事をやっている人も多くいます。 「籾井、やめろ」のメールを出すのもいいですが、いい仕事をやった人の背中を押すというか守るという事が 必要だと思います。

深田  私は映画監督なので映画と文化という立場から話したいと思います。フランスや韓国ではたとえ政府批判の映画を創ったとしても発表することができる。それはフランスや韓国の映画人が長い時間をかけて表現の自由を 獲得してきた歴史があるからです。さっき助成金の話をしましたが映画が文化として成熟している国ではそうし た批判的な映画にもきちんとお金がでる制度ができているわけです。日本の映画人も臆することなくひとり ひとりが自覚して闘っていく映画に限ったことではありませんが、そうした意識が大切だと思います。                                           香山:私はいつも地道にやるのが好きではないので奇策しか考えつかないのですが、14日の朝日新聞にドイツと日本 の戦後の意識調査の違いというのがでていました。戦争で被害を与えた周辺国とうまくやっているかという問い にドイツは9割がうまくやっているに対して日本は40何パーセントでした。先日ドイツ近現史が専門の石田 先生がドイツと日本の決定的な違いを話されました。ドイツはホロコーストを扱った番組をメディアが繰り返 しとりあげ負の公的遺産のように、アートとしてそれを表現したりもしている。だれもがそんなことを忘れ たいし自分達の国がやったことだと思いたくはないのだけれど、きちんと向き合っている。そういうとドイツ のメディアが気概があって素晴らしいと思えるがそれだけではないらしい。じゃあなぜかというと放映すると 受けるから、数字がとれるからだというのです。石田教授はこんな言い方はしていませんでしたけどね。 それはどういうことかというとアメリカのテレビドラマで「ホロコースト」という連続ドラマがあったので すがアメリカで放映した翌年にドイツでも放映した。賛否はあったがドイツでは視聴率50%にもなり大ヒット となった。視聴者からは今まで知らなかった事がたくさんあったと番組を肯定する声が大多数だったそうです。 ホロコーストはタブーでない、むしろきちんと取り上げれば受け入れられると確信したそうです。 この運動も逆手に取って政府批判はウケるとか、かっこいいとかと思わせるドラマやアートを創ったりしたら 一気に風向きが変わっていくのではないかと思います。この会には表現者の人たちが大勢いるので「それ かっこいいじゃん」と思わせるような動きをしていければと思います。 格闘家の高田延彦さんがツイッターでとてもいい発言をしてくれています。影響力のある違う分野の人の こうした発言も期待しています。

飯田:さきほどでたテレビの中での公平という話を少しだけさせてください。やっぱり街頭インタビューというのは 創っていて苦労する事があります。というのはその時の自分の皮膚感覚が基本にありまあ世論はこんな感じだろ うなと思って行くわけです。街頭インタビューではまず答えない人が圧倒的に多いです。なかば強制的に行われ る選挙後の出口調査に比べても街頭インタビューは気軽に拒否されます。なんとか昼のニュースに間に合わせ ようと渋谷の駅前にでていって朝からインタビューを撮るのですが実際にインタビューできるのは片手で数え るくらいです。放送できる時間はせいぜいひとり5秒から15秒くらいのものです。それを賛成、反対の意見を 同等に並べるのはそもそも不可能です。そもそも公平なインタビューで何?という事ですよ。じゃあ、男女比や 年齢層はどうするの?となっちゃあいますからね。テレビの限られた時間の中での街声の平等公平なんてことは 実はないのではと思います。実態として反対の人が多かったら反対の意見を多く使う賛成の人が少なかったら そう放送する、これが一番公平なんだと思います。 今井さんがおっしゃっていた発言した人への救済ですが放送局ってみながジャーナリストということではない ですよね。事務方や技術系の人もいますから、まあそういう人がこの声明に賛同してくれればそれは多いに結構 なのですが、そうした人が使命を感じて日々働いているかといえばそうでもないのですよ。じゃあ、記者はどう なのと言えば記者もだんだんサラリーマン化していると感じます。若手がそうなってきてしまうという懸念が さきほどもでましたがテレビ局もこの2,30年、若手がサラリーマン化してきたのを感じます。それというのも なぜ俺達だけがそんなリスクを負うのという部分とそこまで突っ張らなくてもいい、生きていける、給料をもら えればいいという人が増えているのかなと思います。その意味でテレビ局でこの声明に参加する人が少ないの だと思います。 ただ時代はそんな状況ではなくて発言したら社内で移動させられるくらいの問題ではないもっと大きな危機が 来ているのだと思っています。だからここに来て発言していることで後日何か言われても、申し開きをします、 だってあなたは何も言わないで通り過ぎると思っているのと、報道局長だろうと会長だろうと言ってやります。 問題はそういう職員が多いのでまずは社内的に連帯していけるのかを早急に模索しなければと思っています。                                    今井:飯田さん長くなってしまって申し訳ないのですが、NHKの労組はどんな動きがあるのですか?                                    飯田:NHKの日放労は表立ってこれという動きは無いです。はっきり言ってしていないです。勉強会と称して OBの池上さん達を講師に招いたりはしています。でもそれは池上さんの話を聴くだけで主体的に自分達 でものは言っていない。池上さんもととてもいいことを話しているのですが、最終的にはうまく逃げて じゃあ、こうして闘いなさいとは言っていないんです。                                                                          盛田:私もNHKの労組が今回どういう動きをしているのか調べたくてHPで探したのですが、すごい大変でした。 いろんなところに誘導させられPDFを開かないと池上さんの話が開けない。隠しているとしか思えない ですよ。

飯田  一応、公開していると言っていますが、こっそり置いて、なるべく人目にうつらない場所にあります。                                    古賀:私もNHKの人に池上さんの話のことは聴きました。普通に探したらたどり着けないように熟慮に熟慮を重ねてあそこに置いたと言っていましたよ。私はそうする前に教えてもらったので読めましたが。HPからは絶対にわからないですよ。 具体的には今日聴いたことをですね、多くの人に伝えていくということをまずはやっていくことが大事です。 この間海外特派員協会で記者会見をやって印象的だったのは、やっぱり海外への発信で海外で書いてもらう 事によって効果があったなと思います。特にドイツの新聞は日本の現状を批判的に書いてくれていますし ニューヨークタイムズ、ジャパンタイムズなどもそうですが、ボディーブローのように効いてくるような 気がします。それとネットテレビも重要になってきまして、優秀な番組が多くなっています。もうテレビが ほんとうのことを伝えないならテレビは観ない、香山さんとは逆になりますが面白いものをネットで創れば いいのではないかと、原発関連での番組をテレビで観ないのだったら面白いものをネットにあげるというのも 大事かなと思います。マッド・アマノさんが言われたフリーの人には深刻な問題です。思い切って声をあげた 途端に仕事がほんとうになくなるんですね。そういう人をなるべく応援する。テレビ局にメールや電話をかけ るアクションをすることもとても重要な事だと思います。                                    山口:僕も古賀さんがおっしゃったこととダブりますが応援してくれるということはとっても嬉しいことなんです。 応援する本を買う、雑誌を買う、新聞を買う、メルマガを購読するなどできることをやる。 ネット映像をみてビューがあがることも応援になります。                                    香山:ひとことだけ、学者や研究者の人って(山口さんは別ですよ)あとメディアの人もエリートじゃあないですか。 いい大学をでてずっと褒められてきたので人前で喧嘩したりするのに慣れていなかったりする訳ですよ。学者 や研究者の人と個人的に話すと「安倍さんはおかしい、今の政権はダメだ」とおっしゃるのに「じゃあそれ 言えば」というと「いやあ、バカを相手にしてもしょうがない」みたいな、君子危うきに近寄らず的なとい か、ネトウヨにワーッと来られるとびっくりしてしまうんでしょうね。褒められたことしかないから急に 罵倒されたりすると「もうこんなところで発言する事はやめよう」となっちゃうみたいなのですね。でも 今はそんな場合ではないのです。悠長にいろんな意見があっていいとか自分のフィールドでできることを やればいいとか言っている時ではないと私は思います。                                    今井  ありがとうございました。これで第一部は終了とします。 第二部は参加者全員の専門分野に分かれてのグループ討論会とします。

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